JAIFのASEAN統合イニシアティブ支援
背景
カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV諸国)は、1995年から1999年にかけて東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟した最後の4ヶ国である。この時点で、ASEAN設立から約30年が経過していた。この4カ国の加盟により、「2層構造のASEAN」の誕生が懸念された。この開発格差は、初期に加盟した6カ国と後発加盟国4カ国の一人当たり平均所得の差だけでなく、人材、制度能力、インフラ、競争力のレベルや、その他の開発の側面にも現れている。「2層構造のASEAN」という懸念に対処するため、ASEAN首脳らは2000年に ASEAN統合イニシアティブ(IAI) を、2001年に ASEAN統合に向けた開発格差縮小に関するハノイ宣言をそれぞれ採択した。
日本は2002年にASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画I 採択して以来、ASEAN統合の取り組みを継続的に支援してきた。その多くはカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV諸国)の能力向上に焦点を当てており、日本はASEAN統合イニシアティブ(IAI)のビジョン、すなわち「ASEAN内の格差を是正し、ASEAN地域全体の競争力を高める」ことに貢献してきた。 それに続き、2020年11月にはASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IV(2021-2025) が採択され、ASEAN共同体の目標実現に向けて、カンボジア・ラオス・ミャンマーベトナム(CLMV諸国)がASEAN全体の目標やコミットメントを達成するために労力やリソースを提供することで、ASEAN加盟国間およびASEANと世界の間の開発格差を是正する、効果的な協力と相互支援が促進されることとなった。ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IVは、2016年に採択されたASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画III の5つの戦略分野を引き継いでいるが、改訂され新しい作業計画が組み込まれている。また、インダストリー4.0、ジェンダー及び社会的包摂、環境持続可能性といった新たな課題や新興の課題、さらには新型コロナ感染症パンデミックのASEAN地域への影響も考慮されている。 日本は、2021年1月の開始以来、ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IV(2021-2025)の実施を継続的に支援している。
出典:ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IV (2021〜2025)
支援分野と
主な貢献
日・ASEAN統合基金(JAIF)は、2006年3月の設立以来、日本政府がASEAN統合の取り組みを支援するための重要な手段となっている。ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画に貢献するJAIFプロジェクトの中でも、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV諸国)からASEAN事務局(ASEC)へ職員を派遣する、通称アタッチメント・プログラム はフラグシッププロジェクトであり、現在、副大臣、大使、局長など、各国で重要かつ戦略的地位にある多くの高官が本プログラムに参加された。
ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IIおよびIIIのもとで実施されたJAIFプロジェクトの主な成果は以下の通り。
ASEAN統合イニシアティブにおけるJAIFフラッグシップ・プロジェクト
日本は、2002年の最初のASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画、そして現在のASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画III の採択以来、一貫してASEAN統合イニシアティブ(IAI)を支援してきた。また、日・ASEAN統合基金(JAIF)を通じて、日本はアタッチメント・プログラムも一貫して支援してきた。
ASEAN社会文化共同体(ASCC)事務次長(DSG)、Ekkaphab Phanthavong氏
アタッチメント・プログラムに参加して10年以上が経った今、Ekkaphab氏は「この経験が自分の人生を変えるきっかけになった」と誇らしげに振り返る。1996年に外務省に入省して以来、ASEAN関連に特化した外交活動を続けてきた。早い段階でキャリアに役立つスキルを多く得たEkkaphab氏は、本プログラムに参加した他のラオス政府関係者に共通することとして、アタッチメント・オフィサーとしての経験から得た3つの重要な事柄を挙げた:1)英語の上達、特に彼の時代は、ラオス人職員が英語を学び、練習する機会が非常に限られていた 2)アタッチメントオフィサーとASEAN事務局、そしてアタッチメントオフィサーと外部パートナーとの人脈構築、これは特に政府職員にとって最も重要な無形財産である 3)仕事の進め方、得られた知識を各省庁へ持ち帰ることができたこと。
「CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)、特にラオスにとって、本プログラムは私たちがまさに必要としているものであり、新しい世代の職員にとっても、非常に有益であると感じています」 と大使は述べた。Ekkaphab Phanthavong大使は、現在ASEAN社会文化共同体(ASCC)事務次長を務めている。詳しくは、受益者の声 を参照。
アタッチメント・プログラムに加え、JAIFはASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画III(2016-2020)のもと、食糧・農業と零細・中小企業(MSMEs)の戦略分野における多くのプロジェクトを支援している。現在進行中のプロジェクトは以下の通り:CLV(カンボジア、ラオス、ベトナム)の起業家・中小企業向けビジネス計画作成訓練、重力かんがいシステムにおける地域農業用水管理の効率性向上、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)諸国向け産業用電子機器の共通標準カリキュラム。 ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IIIは2020年12月に終了しているが、いくつかのプロジェクトは継続して実施されており、ASEAN事務局とJAIFマネージメントチーム(JMT)が詳細に進捗を管理している。
また、日本はASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IV(2021-2025)の実施に向け、以下のJAIFプロジェクトを通じて支援を続けている: 「熟練した助産師のためのニーズ検証ワークショップ」、「ASEANライスネットのためのJAIF能力構築プログラム」、「ASEAN事務局へのアタッチメント・プログラム(第17期外務省職員及び第6期経済/社会・文化関連省庁職員)」。