JENESYS (ジェネシス)対日理解促進交流プログラムが日・ASEANの友好と協力の架け橋に
2024年11月8日

JENESYS (ジェネシス)対日理解促進交流プログラムが日・ASEANの友好と協力の架け橋に

JAIFマネージメントチーム

若者は前向きな変化をもたらす原動力と見なされる。充実した学習機会や異文化体験を通じて、若者の多様な情熱や可能性を支援することは極めて重要だ。2007年に開催された第2回東アジア首脳会議において、当時の安倍晋三首相は、大規模な青少年交流イニシアティブである「東アジア青少年第交流JENESYS(ジェネシス)」を発表した。日・ASEAN統合基金(JAIF)の支援のもと、JENESYSは2007年に開始されて以来、日本とASEAN加盟国の若者たちに多くの機会と経験を提供してきた。JENESYSの文化交流活動は、日本とASEAN加盟国を含むアジア太平洋地域とのつながりを強化する役割を果たしている。

多くのJENESYS卒業生たちにとって、文化交流は日本でのホームステイから始まった。そこでは日本の日常生活を垣間見ることができ、ホストファミリーやトレーナー/先生、他の交換留学生などと深い繋がりを築いた。このような経験は、参加者が、学んだことを活かして、母国に積極的に貢献するきっかけとなることが多い。

以下は、フィリピン、ラオス、インドネシア出身の3人の参加者が語った、交換留学プログラムでの体験である。

   

Testimonial from

Mary Joy Tabal (Philippines)

© Japan International Cooperation Center(JICE)

“I was glad to participate in the JENESYS for young athletes, since Japan is one of the best countries which can compete on world’s top stage.”

Testimonial image 1夢の実現に向けた道を走る

Mary Joy Tabal氏 (フィリピン) ー 夢の実現に向けた道を走る

Mary Joy Tabal 氏はフィリピン出身のマラソン走者で、過去にJENESYSに参加した。2014年9月、同氏はマラソン走者のためのJENESYSプログラムに参加し、東京オリンピック予選に向けてトレーニングを積んだ。Mary氏は日本を愛し、日本の文化、食べ物、そして親切な人々が大好きだ。

日本はMary氏にとって、技術を磨き、さらなる高みを目指すための理想的な環境であった。プログラムでは、東京と山梨のトレーニング施設やレース会場を訪れた。山梨学院大学の学生たちとのトレーニングでは、同年代のアスリートたちとの合同練習で感銘を受けたという。

「世界トップレベルで戦える日本で、若手アスリート向けのJENESYS2.0に参加できて、本当に良かったです」とMary氏は語った。

プログラム終了後、Mary氏はフィリピンのトップアスリートの一人として、日本で得た見識を母国で広めるとともに、恵まれない子どもたちに走り方を教える草の根運動も行った。

同氏は2016年にリオ・オリンピックに出場し、翌年には東南アジア競技大会の女子マラソン部門で金メダルを獲得した。

Testimonial from

Soupavanh Senesavath (Lao PDR)

工学分野での女性の活躍を推進

My interest in studying in Japan was sparked by JENESYS. During my visit to Hiroshima, I was impressed by the friendly and accepting nature of Japanese students towards foreigners.

Testimonial image 1© Japan International Cooperation Center(JICE)

Soupavanh Senesavath氏 (ラオス) ー 工学分野での女性の活躍を推進

Soupavanh Senesavath氏はラオス出身のJENESYS参加者だ。同氏は2015年に交換留学プログラムに参加し、日本の温かい文化に魅了された。交換留学プログラムでの思い出に残る経験が、再び日本で高等教育を受ける決意を後押しした。

「日本で学びたいと思ったのは、JENESYSがきっかけでした。広島を訪問した際、日本の学生が、外国人に対してとても親切で、快く受け入れてくれたことに感銘を受けました。」

Soupavanh氏は現在、福岡県にある九州大学で土木工学の博士号取得を目指している。静かで落ち着いた福岡での生活を楽しみつつ、教授と密に連携しながら研究を進めている。

帰国後は、大学で学んだことを活かしてラオスの社会に貢献することを目指している。さらに、現在男性優位の土木工学分野における女性の見られ方を今後変えていきたいと強く思っている。

Testimonial from

Siti Salsabila (Indonesia)

文化交流の推進

Before I joined the JENESYS programme, I only saw things as an Indonesian. After joining the programme, I could see things from the Japanese side and other countries, (including) ASEAN’s sides.

Testimonial image 1© Prime Minister’s Office of Japan

Siti Salsabila氏 (インドネシア) ー 文化交流の推進

Siti Salsabila氏は、2021年の交換留学プログラムを通じて日本を訪れたことで、共感力が芽生えたという。インドネシア出身でJENESYSプログラムの参加者であるSiti氏は、プログラムを通じて得た貴重な学びについて語った。

「JENESYSプログラムに参加する前は、インドネシア人としての視点しか持っていませんでした。同プログラムを通じて、日本やASEAN諸国を含む、インドネシア以外の国々の視点から物事を見ることができるようになりました。」

人生が変わるほどの経験を経て、Siti氏は、日本やASEAN諸国の人々に国際交流プログラムへの参加を勧めている。互いを知ることで、特別な学びを得ることができると同氏は語る。

インドネシアに帰国後も、Siti氏は国と国との文化交流を推進しており、人々が互いに学び合うきっかけになることを願っている。現在、同氏はインドネシアのジャカルタに拠点を置く国際交流基金のアシスタント・コーディネーターとして活躍している。2023年には、ジャカルタで開催された「ジャカルタ日本祭り2023」にて、国際交流基金と共に書道体験活動を主催した。「書道のような日本文化を紹介することで、新たな考え方やインスピレーションを与えることができます。人々の視野を広げ、新しい視点や知識を得たり、あるいは新たな友人ができるかもしれません」とSiti氏は語る。


個人の成長を超えて、JENESYSの参加者たちはその経験を活かし、地域社会における前向きな変化を推進するとともに、日本とASEAN加盟国の友好と協力の強化に貢献している。交換留学期間に得た、国際的な課題への新たな洞察力や異文化コミュニケーションスキルを発揮し、多くの卒業生が外交や教育などの分野でキャリアを積んでいる。

JENESYSプログラムは、異文化理解を促進し、若者同士の持続的な繋がりを築くことに尽力している。同プログラムは、参加者に国境を越えた変革的な経験を提供し、洞察力を育んできた。これまでに47,000人以上の若者が、JENESYSプログラムに参加している。また、JENESYSは定期的に同窓会や共同プロジェクトを開催することで、卒業生同士の繋がりを保っている。

青少年分野における日本の取り組みは、青少年に関するASEAN行動計画(2021-2025)に基づいている。日本政府は日・ASEAN統合基金(JAIF)を通じて「対日理解促進交流プログラム(JENESYS)」を支援している。


セクター概要

Youth

資金枠組み

JENESYS2015

関連受益者の声

ASEAN緊急対応評価チーム(ERAT)プログラムを通じて、地域的連携を強めるASEAN

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東南アジアは、甚大な人命被害、社会的・経済的混乱、そして環境破壊を引き起こす壊滅的な自然災害の発生地である。世界で最も災害の多い地域のひとつであるASEANは、迅速かつ集団的で着実な地域的対応の能力強化を重要視している。この努力におけるフラグシッププログラムのひとつが、ASEAN緊急対応評価チーム(ASEAN-ERAT)プログラムである。このプログラムは、災害緊急事態の初期段階において、被災したASEAN加盟国にASEAN-ERATチームを迅速に派遣するための、ASEANの能力を強化するものである。
2023年12月23日
 全ての「人」が輝ける世界へーASEANにおける障害者(PWD)の総合的な生活の質とウェルビーイング向上のためのプロジェクト(フェーズ1)

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農村部の市場は、地域の商取引の中心であり、地元経済の要となっている。しかしこうした市場は、障害者やその他困難のある人々にとって、アクセスが難しいことが多い。以下は、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムにおける、4人の体験談である。農村部の市場を障害を持つ人々にもアクセスしやすくすることで、彼らが製品やサービスを利用する機会が増えるだけでなく、貧困と闘う手段として、彼ら自身が製品やサービスを提供する機会になることを実証している。 以下4つの体験談の詳細は、をご覧ください。コミュニティとの一体感カンボジア カンダル州 Kien Svay地区 Phlou Thmey市場
2019年6月29日
ASEAN地域のより安全で安心な海のためのVTS(船舶通航サービス)管制官訓練

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海上で発生する渋滞。実際に起こるが、そんな心配に応える交通監視システムがある。それがVTS(船舶通航サービス)だ。しかし、当然、VTSを操作する職員が能力を有し、適切な知識と技術を備えている必要がある。海や水路を守ることは、船舶だけでなく、より重要なことに、人命や環境を守ることにもつながる。そのため、毎日出勤するVTSオペレーターの仕事は、決して楽ではない。海運が東南アジアと世界を結ぶ中心的な役割を担ってきたASEAN地域のような海洋経済圏では、なおさらそのことが実感される。 マレーシア(ポートクラン)にある、海事局海事訓練センター(MATRAIN)のVTS管制官育成のためのASEAN地域訓練センター(ARTV)講義室内© JAIF マネージメントチーム
2018年4月1日