セクター

背景

ASEANは、災害に対して最も影響を受けやすい地域のひとつである。ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)の報告によると、2012年以降、5000以上の災害が発生し、18,000人以上が死亡、総額約19.9億米ドルという未曾有の被害が発生している。被災者は、2億3,000万人にのぼる。

日本はASEANと地理的・水文気象学的な災害についての脆弱性を共有しており、このことが双方の災害に対するレジリエンス強化に向けた協力に拍車をかけている。日本とASEANは、ASEAN防災緊急対応協定(AADMER)と、2021〜2025年の作業計画1 に沿って、また日ASEAN防災行動計画2021-2025で強化されている指針に基づいて、協力を続けてきた。それらは、災害に強いコミュニティの構築や、災害損失の削減、災害への集団的対応を支援するプログラムやプロジェクトの実施を目的としている。また、2021年10月には第1回日ASEAN防災閣僚級会合が開催され、災害管理および人道支援における協力を通じて、人的被害及び経済的損失を減らし、地域における災害へのレジリエンスを強化することを目指してきた日本とASEANの長年の関係を再確認した。

 

出典:AHAセンター災害の件数2012年7月~2022年1月

支援分野と主要な貢献

国家災害管理局(NDMO)を通じたASEAN防災委員会(ACDM)との連携のもと、ASEANの災害管理を支援するJAIFの取り組みは、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)の主要プログラムに反映されている。JAIFは、2006年のAHAセンター設立以来、災害管理、被害軽減、災害への備えと対策に関する主要活動の強化、そして防災におけるグローバルなリーダーシップの発揮というASEANのビジョン推進を、4つの主要なプログラムを通じて支援してきた。具体的には、「ASEAN防災人道支援調整センター(AHA)ICT構築」「ASEAN緊急災害ロジスティックシステム(DELSA)構築」「ASEAN緊急対応評価チーム(ERAT)の強化プロジェクト」そして「ASEAN防災人道支援調整センター(AHA)エグゼクティブ(ACE)プログラム」である。

以下は、JAIFの支援のもと、AHAセンターおよび他の関連機関が実施したプロジェクトの主な成果である。

 

優先プログラム1

優先プログラム2、3、4

優先プログラム 5, 6

優先プログラム 8

少なくとも1,000時間の宿泊研修を修了したACE修了生は、国際的・地域内の調整メカニズムに従って、災害管理のさまざまな側面を習得することが期待されている。

フィリピン 市民防衛局 政策開発計画部長 Angelito R. Casinillo氏

2014年にASEAN-ERAT導入コースを修了したAngelito氏は、2022年11月の熱帯性暴 風雨ナルガエに対応するため、フィリピン南部地域に派遣された前回の経験を振り 返る。Angelito氏は「ASEAN-ERATのメンバーは、迅速かつ着実に活動するよう訓練されています。被災地に到着すると、すぐに現地調査とフォーカスグループディスカッションを行い、国の防災担当局の当面のニーズを把握しました。」と語る。さらに、派遣任務を終えた後の気持ちを「チームは震災後わずか2日で被災地に支援物資を届けることができたので、とても誇りに思いました」と振り返った。

Image2022年11月、熱帯性暴風雨ナルガエの被災者とともにニーズ調査を行ったAngelito氏(左)と ASEAN-ERATのメンバーたち
© Angelito R. Casinillo

ERATの国内メンバーとして2度派遣されたAngelito氏は、2019年と2023年に受講した再教育コースが今でも有意義であったと感じている。「再教育コースのおかげで、更新されたASEAN-ERATガイドラインを見直すことができただけでなく、ASEAN-ERATの仲間たちと情報交換することもできました」。

Angelito氏のストーリーは受益者の声で閲覧可能。

JAIFの支援のもと、AHAセンターは現在4つのプロジェクトを実施している:「AHAセンター・エクゼクティブ(ACE):緊急防災プログラムリーダーシップ(ACE-LEDMP)」、「ASEAN緊急対応評価チーム(ERAT)強化プロジェクト(フェーズ3)」、「ASEAN緊急災害ロジスティックシステム(DELSA)フェーズ4」、「トルコおよびシリアで発生したマグニチュード7.8の地震に対する人道的対応支援に関する共有セッション」。また、ASEAN事務局の主導のもと、「ASEAN防災緊急対応協定(AADMER)作業計画 2021-2025」の実施に関する中間レビューが現在進行中である。


1ASEAN防災緊急対応協定(AADMER)作業計画2021-2025」の作成は、日本政府により、JAIFを通じて支援された

私たちの旗艦プロジェクト

ASEAN緊急対応評価チーム(ERAT)プログラムを通じて、地域的連携を強めるASEAN

ASEAN緊急対応評価チーム(ERAT)プログラムを通じて、地域的連携を強めるASEAN

東南アジアは、甚大な人命被害、社会的・経済的混乱、そして環境破壊を引き起こす壊滅的な自然災害の発生地である。世界で最も災害の多い地域のひとつであるASEANは、迅速かつ集団的で着実な地域的対応の能力強化を重要視している。この努力におけるフラグシッププログラムのひとつが、ASEAN緊急対応評価チーム(ASEAN-ERAT)プログラムである。このプログラムは、災害緊急事態の初期段階において、被災したASEAN加盟国にASEAN-ERATチームを迅速に派遣するための、ASEANの能力を強化するものである。

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