中小零細企業のデジタル化評価のための診断ツール開発
提案者 | : | ASEAN事務局(ASEC) |
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実施機関 | : | 日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC)事務局 |
背景
デジタル経済は、ASEANの経済成長を牽引する重要な要素である。ASEANのデジタル経済は、2015年の310億米ドルから、2025年には6.4倍の1970億米ドルまで拡大すると予測されている。ASEAN地域には「モバイルファースト」の市場が数多くあり、第4次産業革命にも乗じていることから、デジタル経済は同地域の経済成長を牽引する重要な要素となった。しかし、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)によると、多くの中小企業がデジタルツールを最大限に活用できていないのが現状である。[1]
ASEANでは、中小零細企業がデジタルスキルやテクノロジーを導入し、デジタル経済への参画を強化することが重要な課題として認識されている。これらのニーズに対応するため、ASEAN加盟国は、「能力開発イニシアティブを通じたASEAN中小零細企業のデジタル化に関する行動枠組み」の採択を通じて、コミットメントを表明している。この取り組みに基づき、日本政府は、日・ASEAN統合基金(JAIF)を通じて「中小零細企業のデジタル化評価のための診断ツール開発」プロジェクトの実施を支援している。
プロジェクトは何を目指している?
本プロジェクトは、中小零細企業がデジタルスキルを高めるだけでなく、政府や中小零細企業の支援機関が、中小零細企業のデジタル技術導入の状況を正しく理解し、的を絞った、根拠に基づく政策の策定や介入を行うことを目的としている。これにより、以下の成果が期待される:
- ASEAN加盟国の中小零細企業が利用できる自己診断ツールの開発
- ユーザー主導のデータ収集メカニズムの確立
2000年11月に首脳らがe-ASEAN フレームワーク協定に署名して以来、20年以上前からデジタル・トランスフォーメーションは、ASEANの注目課題となっている。ASEANの一貫したデジタル・トランスフォーメーション戦略は、地域の復興だけでなく、長期的な競争力にとっても重要である。
第20回ASEAN経済共同体(AEC)理事会
2021年10月18日
バーチャル会議
本プロジェクトは、「ASEAN中小企業発展のための戦略的行動計画(2016~2025)」の 「戦略目標A. 生産性、テクノロジー、イノベーションの促進」に合致している。さらに、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」に示されている、中小零細企業、デジタル経済、第4次産業革命の分野における経済協力にも貢献している。加えて本プロジェクトは、ASEANにおけるデジタル格差を是正することを目的としており、「ASEAN連結性マスタープラン(MPAC)2025」の「イニシアティブ4:中小零細企業テクノロジープラットフォームの強化」の実施を支援している。
本プロジェクトは現在進行中で、2024年10月に完了予定。
2022年11月30日
[1] ASEAN地域の中小零細企業のデジタル経済参画についての研究:ASEAN中小零細企業のデジタル化を促進するために(https://asean.org/wp-content/uploads/2019/10/ASEAN-MSME-Full-Report-Final.pdf)