ASEAN事務局へのアタッチメントプログラム(第17期外務省職員及び第6期経済/社会・文化関連省庁職員(2022-2023)

提案者:ASEAN事務局(ASEC)
実施機関:ASEAN事務局 (ASEC)

背景

カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV)は、1995年から1999年にかけて、すなわちASEANが設立してから約30年後に加盟した。他のASEAN加盟国と比較して、CLMV諸国は、2021年の一人当たり所得[1]や人間開発指数[2]が平均して低い。これは、ASEAN加盟国間においても、依然として開発格差が存在することを示している。この懸念に対処するため、ASEAN首脳らは2000年に「ASEAN統合イニシアティブ(IAI)」を、2001年に「ASEAN統合に向けた開発格差縮小に関するハノイ宣言」をそれぞれ採択した。

日本政府は、日ASEAN統合基金(JAIF)を通じて、2007年から の実施を支援している。プログラムは、ASEAN加盟国間の能力・制度格差を縮小するために、CLMV諸国の職員が知識、技能、経験を高めることを支援するものである。1年間のプログラム参加後、アタッチメント・オフィサー(AO)は、地域議論への貢献や、国の公約の効果的な実施が期待される。これまでに約100名の若手政府関係者がASEAN事務局に派遣されている。

プロジェクトは何を目指している?

これまでの成果を踏まえ、2022〜2023年のアタッチメントプログラムは、CLMV諸国がASEAN全体の取り組みやASEAN共同体の目標実現に向けた公約を達成できるよう支援し、以下の成果を生み出すことで、開発格差の是正に寄与することを目的としている:

  • 地域協力と統合に関連する課題について、CLMV諸国の12名のアタッチメント・オフィサー(AO)が知識と理解を深める
  • ASEAN会議のトーキングポイントや介入ポイントの起草・起案、成果文書の起草・起案、会議への出席等を含む、会議ファシリテーション能力の向上

2022年のASEAN議長国であるカンボジアを支援するため、同国から追加5名のアタッチメント・オフィサー(AO)の能力を向上

ASEANは、ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画III(2016-2020)の実施に対する日本の支援を評価するとともに、IAI作業計画IV(2021-2025)の実施や、ASEANにおける人材育成、開発格差の縮小、地方開発の促進のためのプログラムに対する日本の継続的な取り組みに感謝する。ASEANは、カンボジア、ラオス、ミャンマー及びベトナム(CLMV)の若手外務省職員に対するアタッチメント・プログラム及びCLMVの社会・文化関連省庁職員のASAEN事務局へのアタッチメントに対する継続的な支援を歓迎する。

第24回日ASEAN首脳会議 議長声明

2021年10月27日

オンライン会議

CLMVと他のASEAN加盟国との開発格差の是正を目指した本プロジェクトは、ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IV(2021-2025)の「実現アクションII 行政、公共政策、ガバナンス、規制開発におけるベストプラクティスを共有するための政府関係者の能力開発」に貢献している。さらに同プロジェクトは、2020年の第23回日ASEAN首脳会議で採択された「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」で示された重要分野の1つである「人と人とのつながりの強化」という日・ASEANのコミットメントに寄与している。

作業計画に基づき、本プロジェクトは2022年から2023年まで1年間実施される予定。

2022年11月30日

[1] 世界銀行「一人当たりGDP」東アジア・太平洋地域https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.PCAP.CD?locations=Z4

[2] 国連開発計画「2020年人間開発報告書」 表1:人間開発指数とその構成要素https://hdr.undp.org/sites/default/files/2021-22_HDR/HDR21-22_Statistical_Annex_HDI_Table.xlsx