JAIFの国境を越える犯罪対策支援
背景
国際犯罪、特にテロリズムは、国家の平和・安定・経済的繁栄に大きな脅威を与えている。多くの地域1 でその影響は全体的に減少しているものの、テロの脅威は依然として重要かつ深刻である。未だ深刻なテロの脅威に対して、地域機関や国境を越えた協力による集団的対応を強化していく必要がある。
出典:「インスティテュート・フォー・エコノミクス&ピースグローバル・テロリズム・インデックス2020」:Measuring the Impact of Terrorism, Sydney, November 2020 (p.31).入手先: https://visionofhumanity.org/wp-content/uploads/2020/11/GTI-2020-web-1.pdf (2020年12月15日アクセス)
日本はASEANと、国際犯罪、特にテロ対策において、長年協力してきた。日本とASEANは、2004年の「国際テロリズムとの闘いにおける協力に関する日ASEAN共同宣言」、そして2014年の「テロ及び国境を越える犯罪と闘う協力のための日ASEAN共同宣言」の採択により、「綿密な情報交換やキャパシティー・ビルディングを通じた国際テロの防止、抑止、根絶のための協力スキームを持つことの重要性」を再確認した。
支援分野と
主な貢献
日本とASEANは2004年と2014年に共同宣言を採択したことを契機に、域内の国際犯罪対策における協力を強化するとともに、定期的に対話の場を設けている。具体的には、2006年からの「日・ASEANテロ対策対話(AJCT)」や2014年からの「日・ASEANサイバー犯罪対策対話(AJCC)」などである。この2つの対話は、日本とASEANが、域内のテロ対策とサイバー犯罪対策について議論し、協力を強化するための場となっている。
国境を超える犯罪に関する日・ASEAN高級実務者会合(SOMTC-Japan)においては、「日・ASEAN高級実務者会合(SOMTC-Japan) テロ・国境を越える犯罪対策に関するワークプラン(2015-2017)」 が初めて策定され、2015年に採択された。同ワークプランの終了後、日本とSOMTCは、日・ASEAN統合基金(JAIF)を通じた支援により、ASEANにおける国際犯罪に関する包括的な10分野を対象とする 「日・ASEAN高級実務者会合(SOMTC-Japan) テロ・国境を越える犯罪対策に関するワークプラン(2018-2022)」2 を2018年に更新・採択している。これまでの上記イニシアティブへの主な貢献として、以下のようなプロジェクトが完了・実施されている。
JAIFは、2022年に実施される第12回日・ASEANテロ対策対話(AJCT)や第4回日・ASEANサイバー犯罪対策対話(AJCC)などの地域対話の支援を今後も続けていく予定。
1 Global Terrorism Index 2020 によると、2019 年の総死者数は 5 年連続で 15.5% 減少した。
2「日・ASEAN高級実務者会合(SOMTC-Japan) テロ・国境を越える犯罪対策に関するワークプラン(2018-2022)」の策定は、日本政府が、日・ASEAN統合基金(JAIF)を通じて支援した。